今回の分析結果のハイライト
- ここ数年の傾向として、全体的に論文数、被引用数ともに漸増傾向であり、日本のトップ研究機関の学術発信はより活発化していることがわかります。
- 全体的に、研究機関の顔ぶれに大きな変化は見られません。日本順位で上位を占める研究機関の多くは、昨年の国内順位を守りつつ、世界順位でも上昇の傾向がみられます。一方、国内順位を維持している研究機関であっても、世界順位が下降している機関も見られます。
- 昨年に続いて、政府系研究機関の順位に上昇が見られます。これらの研究機関の多くは、近年に独立行政法人化されたものです。
- 材料科学、物理学、化学のそれぞれで国内1位を維持した東北大学、東京大学、京都大学は、世界順位でも昨年と同じ位置にあります。生物学・生化学分野では、国内1位の東京大学は、世界順位では昨年の5位から第3位へと上昇しました。
- 下に続く解説“「組織戦略」とランキング”、“世界第1位をどう見るか”もご参照ください。
世界のトップ1パーセント以内の論文被引用実績
Essential Science Indicators は世界の研究機関によって利用されている、研究パフォーマンスを論文引用動向データから計るための統計分析データベースです。各表において、括弧内の機関数は、同データベースに収載されている各分野の世界上位1パーセントの集合を表しています。例えば、表2の材料科学では、589機関が論文被引用数によって世界の上位1パーセントとして抽出・収録されました。
「組織戦略」とランキング
Essential Science Indicators の研究機関ランキングでは、論文の著者が記載した所属機関名にもとづいて引用データを処理することを原則としています。下部組織名称や旧組織名により表れたデータを取りまとめてランキングに反映することによって、研究機関はその研究成果をより高くアピールすることができます。こうした客観データを組織戦略に活用している研究機関は少なくありません。
世界第1位をどう見るか
その一例として、ドイツのマックス・プランク研究所や、中国の中国科学院があげられます。傘下の研究機関をそれぞれ、Max Planck Society、Chinese Academy of Sciencesという名称の元に集めた結果、これらの研究機関はEssential Science Indicators データベースが集計する多くの分野で世界のトップ1パーセントにランクインすることとなりました。今回の4分野のうち、昨年に続いて今年も、マックス・プランク研究所が化学、物理学の2分野で世界1位、また中国科学院が材料科学分野で世界1位となっています。しかしこれはそれぞれが傘下に擁する研究機関名をひとつに取りまとめた結果であり、2004年まで世界第1位であった東北大学(材料科学)、東京大学(物理学)などの研究パフォーマンスが下がったと見るべきではありません。
今回のランキング集計にあたって
今回の集計では、2007年12月末までに行われた大学・研究機関の統合等を反映し、また下部組織名称・旧組織名などによって複数がランクされた機関名については現在の親組織の名称に統一しました。このような組織名の集計が行われた研究機関は、表中では*マークにより示されています。
各表は各機関の発表した論文が引用された数(被引用数)の総数順となっていますが、これを発表論文数や、平均被引用数(一論文あたりの被引用数)によって並べ替えても興味深い結果が得られます。こうしたランキングは絶対的なものではありませんが、世界から注目される、顕著な研究業績をあげている研究機関がどこであるかのおおよその目安にすることができます。
Essential Science Indicators、その他の情報源について
なお、今回の調査の出典であるEssential Science Indicators は、論文引用の世界標準等が分析できる統計データベースで、収録データは2ヶ月ごとに更新されています。大学・研究機関等の組織単位での契約により、インターネットを通じて提供されるもので、個人でのご契約には対応しておりません。米国ペンシルバニア州フィラデルフィアにある本社では、Essential Science Indicatorsをソースデータとしてさまざまな引用分析を行い、ScienceWatch.comというウェブサイトで無料公開しています。詳しくは以下のURLからご覧ください。
また、日本の研究者による注目論文とインタビューについても弊社ウェブサイト内の KnowledgeLinkにてご紹介しておりますので、ご参照ください。
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